スネアドラムの工兵日和













●スネアドラムとワイヤー!ワイヤー!●
スネアドラムは、ものすごく平たく言うと「小太鼓」。

ベスト10発表なんかで
「ダララララララ…ダン!」とか、
「ザザザザザザ…ザン!」みたいな『タメ』を入れる時野あの音を出す楽器がスネアドラム。

(ちなむに「ドン!ドロロロロロロ…ドゥン!」みたいなのは
『ティンパニ』というまた別の楽器です。
分かりにくいっすね…ティンパニについてはまたそのうち…)

この「ざざざ」という音は、太鼓の革の打音に加えて
太鼓の裏に張られた「スネア線」という
数本の細いワイヤー的なものが響いて鳴る仕組みになっています。

このスネア線を瞬時に張ったり緩めたりして、
2種類の音が出せる楽器です。


ちなみに「スネア」には「罠」「陥れる」などの意味も有り。
(スネア線はトラップにも使用されるため。)

あー胸がきゅんきゅんする。

打楽器は、「叩いて音を出す」という
最も原始的な楽器。

でも、楽器には「音が出るのは簡単=上達するのが難しい」という法則があり(あるのか?)
太鼓と言うのは本当に難しい楽器です。

超絶早く!とかすごい連打!とか、テクニック的な事はもちろんだけど、
太鼓系はリズムキーパーの役目も多いのですが、
一定の音を一定のスピードで叩き続けるだけでも結構難しい。

(大概どんどん遅くなる。)

音色としても、どこ叩いてもOKって訳ではなく
ちゃんと芯を食った音が出る場所がある(しかもその範囲は結構狭い)。
一瞬でキメることが宿命づけられた楽器。

こうやってみると、打楽器は全然簡単な楽器じゃない。

●スネアドラムの原型●
もともとは軍楽隊で行進しながら叩く「サイドドラム」。
肩から斜めにかけたり、腰のベルトから吊り下げたりするドラム。
太鼓が体の横にくるのでこの名前で呼ばれていたようです。



サイドドラムは打面が傾いているので、奏者はバチの持ち方を工夫して
太鼓の革にうまくヒットするようにしてました。
今もスネア奏者のバチの持ち方が左右で違うのは
その名残のようです。
(そうじゃない持ち方もある)

●スネアが軍楽隊に入る前●
今では軍楽のイメージの濃いスネアドラムだけど、
もうちょっと時代をさかのぼると「テーバー」と呼ばれる響線のついた太鼓で、
旅楽師などに用いられていた。
「パイプ」と呼ばれる笛と1セットだったみたいです。

古楽の小屋 ロバハウス
参考サイト:古楽器の演奏情報、知識について知ることができるサイト。
「使用楽器は?」→「楽器館」→「フルート弦系の楽器たち」ページにテーバーの絵があります。

民間のイベントや祭りで演奏されてたみたいです。
平和。

軍楽で発達した音楽が
吹奏楽やブラスバンド、ジャズなんかになってまた
戦争以外の部分に還元されていく…みたいなスパイラルは
昔からずっと続いてるんですね。
この辺についてはまた後程。

血なまぐさい話についての平たい説明はこちら。

●おすすめ曲●
ラベル「ボレロ」



超メジャーな曲ですが、めちゃめちゃな難曲だそうです。
聞いてる側は最高なのに…。

曲のスタートを切る重要な楽器としてスネアドラムが登場。
そこから地獄の行軍のような20分間が始まる。
延々と同じリズムを刻み続けるという、考えただけでも気の狂いそうなパート。

余談:この曲はトロンボーン奏者にとっても相当きっつい曲らしい。





●おすすめ曲2● ニック・カーショウ「ザ・リドル」(洋楽)



これものっけからスネアドラムで始まる曲。
もろに戦争の象徴として演奏されてます。

メタリカの「one」なんかもドラムでマシンガン(多分)の音を
表現したりしてます。




●スネアドラムのバチ●
スネアドラムのバチの通称は「どんぐり」。
なんかかわいい。

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