オーボエの躁鬱

















●殺人オーボエ●

「スカッドミサイルと下手なオーボエ奏者の違いは何?」
「下手なオーボエ奏者こそあなたを殺します」

以上オーボエジョーク。
まぁそのくらい難しい楽器ということのようです。


●あまくてせつなーいぃ●
そんな不名誉な(=美味しい)いわれを受けるオーボエですが、
音色は本当にきれい。

「甘く切ない」という言葉がぴったりの、ちょっと鼻にかかったような官能的な音は
ものすごく耳に入ってくる。

平たく言うと、品の良いチャルメラみたいな感じです。
個人的には、オーボエの音には「生々しさ」「張りつめた緊張感」を
ものすごく感じる。


わかりやすいのは、バレエ「白鳥の湖」の有名なフレーズ。



ちょっとエキゾチックな雰囲気にはオーボエの音がすごい効果を発揮。
「あー」とか「みゃー」とか鳴く水鳥系の声にも似ているし、
弦楽器にも似ている。

●おすすめ曲●
サン・サーンス「死の舞踏」



夜中にがい骨たちが踊り、朝になって帰っていく曲。
一番最後、夜明けのシーンでオーボエが鶏の鳴き声を表現している。
踊るがい骨のぶつかり合う音(木琴(シロフォン))がなんか可愛い。

シロフォンについてはまた後程。


●息が余って困る●
オーボエはよくメロディを担当するが、
理由はやっぱり、周囲から浮き上がって目立つ美しい音色。

と、まぁそれもあるけれど
「息が続く」というのもメロディを任される大きな理由。

オーボエは、息の通る穴が本当に細く
そんな特徴のせいかとにかく息が長く続きます。
良いようだけど、オーボエ奏者の苦労はここにあって、
「メロディを吹ききってなお余る息を吐き出してから吸う」という離れ業が必要らしい。

古い息を吐ききらないと新しい空気が効率よく回らない現象は、
長距離を走ったことがある方なら経験あるかと思います。

(※木製の楽器は、材質の都合上少し肉厚にできているので
オーボエもある程度の太さがあるように感じられます。
金属製オーボエを見てみると、管の細さがよくわかる。
金属はある程度薄く延ばせるので、ちょっとハラハラするくらい痩せてます。)
↓リンク先で、痩せたオーボエ画像を見られます。↓

ほっそりオーボエ。


●とにかく手がかかる●
オーボエの説明でよく言われることは
「楽器吹く時間より、リード(吹き口)削ってる時間の方が長い」ということ。
これの出来不出来で、音色が著しく変わるらしい。

クラリネット、サックスなどもリードは消耗品で
「あたり」「はずれ」があるらしい。

●ギネス再び●
音は不安定だし、楽器の構造は合理的じゃないし、手入れは大変だし…
そのせいか、「世界で一番難しい木管楽器」の認定を受けました。
もちろんギネスから。
『誰にも上手に演奏できない不快な木管楽器』だそうです。
大変なもんだな…。

●奏者の特徴●
いつも飄々としていて目立つことが好き、
というより発言のタイミングや声のでかさで否応なく目立つ。

楽しそうなものに対するセンサーが敏感で、
そういうものを見つけて寄っていって、いつの間にかその輪の中心になっていたりする。

自分を曲げない頑固さがあるのに、持ち前の明るさが
その頑固さをカバーしてしまう得な性格…に見える。

と、言いつつ隠れ几帳面な部分もあって、
ふとした瞬間面白くなさそうな憂鬱そうな難しい顔で黙って考え事をしていたりします。

自分大好きで奔放に見えるんですが、
それでもなかなか憎めないのは、皆を笑わせるために人知れず「道化役」を買って出る
気遣いにあるんじゃないかと思います。

いや、でもそんな道化タイムも「今の自分、オイシイ」と
こっそり楽しんでるはずだと思いますが。

とにかく思いついてから行動に移すのが早いらしい。
茂木大輔「楽器別人間学」によると
『オーボエ奏者は恥じらいが無いからすぐ行動に移す』らしいのですが、
私はこれも「失敗して恥かいてもオイシイ!すべらない話が一個増える!!」
とか密かに思ってるからじゃないのか?と思えてしまうんですが。


●ちょこっとコルネット●
コルネットの形については、「小型のトランペット」という感じで
実際トランペット奏者が持ち替えで
コルネットを吹く場面をよく見かけます。

けれど、平たく言うとコルネットはホルンから派生した楽器。
トランペットより若干のびやかな音色です。
楽器の形なんかが関係しているようですが、
機会があればおすすめ曲や楽器の形についてもそのうち書けたらと思います。

トランペットの音が貫通するレーザービームなら、
コルネットの音色は大らかな虹のような感じ。

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